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好きだなんてひとことも言わないくせに、僕の心を揺さぶって楽しんでいるのだろう。
もう限界だ。
そう言いかけた僕の頬を、冷たい両手で挟んで自分の唇を押し当てる。
いつものように僕の言葉を封じ込めて、僕の意思を無理やりに摘み取ってしまう。
ほだされるように、力なく、僕は美紗の身体を抱き寄せた。
彼女のうなじに顔をうずめて、もう、これが最後だ。
そう自分に言い聞かせた。
シャワーの音が途切れると、美紗が開けた浴室のドアから、シャンプーの香りがもれてくる。
先に寝室に入って布団をかぶっていた僕のところまで届いてきた。
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