0人が本棚に入れています
本棚に追加
職場から帰る途中の電車の中、かけ直すと言った僕を、彼女は信じられないと言って切ることすら許さなかった。
僕は駅名も良く分からないまま途中下車を余儀なくされた。
アルバイト先のコンビニで知り合った高校三年生の自分の息子に、美紗がしつこく言い寄って来て困っているのだと、彼女はそう、はっきりと言った。
僕は何とか彼女の怒りを抑えようと、空いた片方の手で耳を塞ぐと、帰宅する人々の雑踏に埋もれながら、ようやく飲み込めてきた事情をたどって必死に言い訳をした。
「まずは本人に確かめて、彼女の言い分もあるでしょうし、でも、相手の親御さんにこんなに心配かけていることもきちんと伝えますので……」
最初のコメントを投稿しよう!