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「もうその子とは会わないって、約束して」
僕の尖った言い方に、
「……わかった」
無機質な美紗の声が、小さなリビングに響いた。
最初に好きになったのは僕の方だった。
高校の同級生で、テニス部だった彼女を、僕はいつも化学室の古く錆びた窓から探していた。
健康的に焼けた肌の上を、汗がきらきらと光りながら、柔らかそうな胸元に滑り落ちるのを見た。
誰にも言えなかった。
口に出しただけで、それはもう叶う事のないものになってしまいそうで、彼女を目で追う事すら当時の僕にはためらわれるほどだった。
「瀬能君は、色が白くてうらやましいな」
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