Tango Down-2

3/21
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
僕は咄嗟にそう言って、懲りもせずにまたその朽ちた屍を拾い上げて、駅前のカプセルホテルに逃げ込んだ。 女々しさを噛み殺しながら、眠れない夜を必死で飲み込んだ。 離婚をほのめかすようになった美紗を、僕は、避けるようになった。 彼女は、僕のそんな態度を、駄々をこねていると言って罵った。 まだ愛しているんだ、そう言うと、美紗は呆れたように冷ややかに笑った。 「良くそんなこと言えるよね……」 「あいつのどこが良いんだよ!」 稚拙なやきもちに破壊された僕は、手に持っていたボールペンを壁に投げつけた。 美紗はそれを横目でちらりと見ただけで、 「……もうムリ」 そう言い残してあっさり家を出た。 美紗がタカヒロの家に入り浸るようになると、彼女の母親からすぐに電話がかかって来た。     
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!