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僕は咄嗟にそう言って、懲りもせずにまたその朽ちた屍を拾い上げて、駅前のカプセルホテルに逃げ込んだ。
女々しさを噛み殺しながら、眠れない夜を必死で飲み込んだ。
離婚をほのめかすようになった美紗を、僕は、避けるようになった。
彼女は、僕のそんな態度を、駄々をこねていると言って罵った。
まだ愛しているんだ、そう言うと、美紗は呆れたように冷ややかに笑った。
「良くそんなこと言えるよね……」
「あいつのどこが良いんだよ!」
稚拙なやきもちに破壊された僕は、手に持っていたボールペンを壁に投げつけた。
美紗はそれを横目でちらりと見ただけで、
「……もうムリ」
そう言い残してあっさり家を出た。
美紗がタカヒロの家に入り浸るようになると、彼女の母親からすぐに電話がかかって来た。
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