0人が本棚に入れています
本棚に追加
「娘を自由にしてやって欲しい」
お義母さんのその言葉は、ためらう僕の介錯をするかのように、僕の首に刃を突き立ててきた。
優しい言い方をしながらも、彼女は、いつまでも美紗にすがり着く僕の足もとを見たのだ。
その翌日、帰宅すると美紗が居た。
久しぶり、と僕が言うと、いじわるになったね、と、返してきて、顔をそむけた。
壁に沿わせるように積まれた段ボールを指さして、これは、明日引き取りに来るから、と言った。
「晋弥君のいない時に来るつもりでいるから」
その一言で、タカヒロがまたここに上がることを悟ってしまう僕と、良かれと思ってそれを口にする美紗。
最初のコメントを投稿しよう!