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やっぱり僕らは合わないね、と思ったが、僕は口をつぐんで、わかった、とだけ言った。
そのまま黙ってダイニングテーブルに向かい合って腰を下ろすと、すかさず美紗は離婚届を広げて僕の署名と印鑑が欲しいと言った。
お疲れさまくらい言ったっていいじゃないか。
全て、ため息に含ませた。
「悪かったって、本当にそう思っているから」
印鑑を持つ僕の手を目で追いながら、美紗がそう言った。
一瞬、僕の手はためらい、行く先を見失いかけたが、美紗がすぐに慰謝料という言葉を出したので、僕はそれを打ち消して無表情で判を押した。
「昨日、お母さんが言っていた通りで僕は構わない」
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