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このマンションを購入するときに、美紗の両親が頭金を負担してくれていた。
僕は長男だったが、先に結婚した姉が両親と暮らす話になっていたので、一人娘だった美紗の両親は自由にできる婿をもらったととても喜んでくれて、僕も気さくな彼らとうまくやっていたと思う。
彼らのせめてもの償いなのだろう。
美紗と僕の共同名義だったこのマンションを僕の名義だけに変更して、残額の一部を負担すると言った。
ここに住み続けることを選んだことに、僕の両親は困惑していたが、今はそういった細かいことを考えるのも嫌だった。
駅まで送るよと言って立ち上がると、美紗は首を横に振った。
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