Tango Down-2

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「近くまで迎えに来てくれるから、大丈夫」 濁ったままの視界じゃ、もうこれ以上先に進めそうもない。 でも、これ以上君にしがみ付けば僕の負けだ。 「身体に気を付けて……」 心にもない陳腐な言葉を美紗の背中に投げかけた。 屈辱と憎悪をねじ伏せて、僕は美紗と離婚をした。 残されたのは、酷い喪失感だった。 空っぽの僕は、四六時中、未だに美紗のことばかり考えている。 活字も、音楽も、映画も、この虚無感を埋めるには無力だった。 彼女に拒絶されて持て余した僕の愛情は、日に日に酸化してゆくようでいたたまれない。     
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