届けたくて

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 佳那恵は須藤と付き合っているのだろうか、しかしそれなら家を知っているはずだ。入り組んでいるとはいえ、二、三度行けば充分覚えられるだろう。  私の胸に忘れていた感情が蘇る。  中学時代、私は彼女が好きだった。しかし彼女は須藤のことが好きだったのだ。  その事は佳那恵と親しい女子が教えてくれたが、須藤が彼女の気持ちを知っているかは判らなかった。ただ私の知る限り中学時代、二人は付き合ってはいない。  二人は同じ高校に進学したので、そこで進展した可能性はある。  大学はどうしたのだろう、須藤は地元の大学に進学したと聞いている。  彼女を問いただしたい気持ちが沸ふつと湧いてくる、私はそれを必死に押さえた。 「ここで就職するのか?」  このまま沈黙が続くと余計なことを口走りそうなので、当たり障りのない話題を振る。  いきなり声をかけたせいか、佳那恵は驚いたように視線を向ける。 「うん……そう……だね……」  再び沈黙が降りた。バレンタインのチョコを渡すので緊張しているのだろうか?  だとするとやはり二人は付き合ってはいないのではないか、付き合っているならそんなに緊張はしないはずだ。  意味の無い期待が膨らむ、須藤と佳那恵が付き合っていなかったとしても私には関係ないのだから。
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