告白は謎解きの後で

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「おはよう、公平くん!」 「ぁ、おはよう……相馬さん」  分団の集合場所に既にいた相馬さんに爽やかな笑顔で手を振られ、軽く手を挙げる。頭の高いところで結わえたポニーテールに大きなリボンが括られていて、彼女の顔の小ささと対照的で可愛らしい。 「ねぇ、今日……」  相馬さんが僕に話しかけようとしたところで、彼女の肩に大きな手がのせられる。 「なぁ、今日ってなんの日か知ってるか、美夢(みむ)?」  同じ分団で、僕らと同じ5年生の久遠(くおん)だ。ちなみに、久遠は苗字ではなく名前で、遠藤寺 久遠が彼のフルネーム。芸能人みたいな名前と同様に顔もかっこよくて、運動神経抜群で、女子にモテる。  相馬さんが久遠の隣の家に引っ越してきたのは、僕と久遠が4歳の時だった。同じ幼稚園で近所に住んでいた流れから自然と母子3組で遊ぶようになったのだが、久遠と相馬さんの母親は趣味も考え方も似ていて、急激に仲良くなっていった。僕の母さんは内向的で人付き合いが苦手なタイプなので、そんなふたりと次第に距離を取るようになった。僕はそのことを寂しく思いつつも、幼いなりに母さんが居場所がなくて早く帰りたがっていることを感じ取っていたので、ふたりと遊びたいと我儘をごねることが出来なかった。  母親を交えて会うことがなくなってからも、相馬さんは度々僕に遊ぼうと誘ってくれた。そんな時は大抵久遠も一緒で、いつでも彼女を独占したがり、いない時に会おうものなら物凄い剣幕で怒ってきた。僕は誘われても断るようになり、今では完全に行き来がなくなった。相馬さんとは、ここで挨拶したり、クラスで必要な時に喋るぐらいの仲だ。
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