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まず、最初に驚いたのは、詩乃薔薇中学校には身分を偽っている人間が多いという事。
最初は3年の上倉 颯司先輩。
彼の黒髪黒目はただのウィッグとカラーコンタクトで、本当はアルビノ。
彼の苗字は偽物で、本当はあの名家、珠洲河家のお坊ちゃまなのだという。
次、1年の秋雲ユラちゃん。
あの子も偽名らしいが・・・本名を把握している人間は誰も居ないらしい。
とある組織で諜報員をしていて、なんと拳銃の扱いに長けているそうだ。
そして最後に、ユラちゃんと同じく1年の三谷 乃愛ちゃん。
彼女も偽名、で日本とアメリカのハーフらしい。
今はノア・リッジウェイと名乗っているそうだ。
異世界から来て、とある組織で研究員をしている、とか何とか。
ヴィオラも含めたこの4人は、将来的にメアリー・スーというものになる可能性を秘めているらしく、メアリー・スーの存在を追っているノアちゃんの組織に協力しているのだとか。
まあ、ノアちゃん曰く「普通の人間」である私も何故か協力する事になっているのだけれど、その経緯は省く。
簡単に言うなら、彼等と関わりが深かったから、といったところか。
まあそんな経緯がある訳なので、ノアちゃんだったら何とかしてくれる筈、という事で学校に向かって全力疾走した。
そして学校に近付いたところで、正門前にノアちゃんの姿が見えた。
学校の前に居るのに制服ではなく、いつものワイシャツにジーンズ、そして両袖が破れほぼノースリーブ状態になっている白衣を着ていた。
写真を撮っていたのだろう、手には一眼レフが握られている。
速度を落として、少しだけ呼吸を整えながら正門へ走る。
すると、ノアちゃんも私に気付いたようで声をかけてきた。
「ああ、敬寧先輩でしたか・・・Good morning.」
「お、おはよう・・・ノアちゃん、あの・・・」
「あ、ああ、言いたい事は何となく解ります。恐らく、私の組織で何とか出来る事ですから・・・申し訳ないのですが、私とユラは今日部活を休む、とお伝えいただけませんか?」
成程、制服ではなかったのはそういう事だったか。
心の中で納得し、うん、と返事をする。
ノアちゃんはThank you、と感謝の言葉を述べて行ってしまった。
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