異常な空と一般人、そしてその蛇足

蛇足

「I'm going,Dr.Palmer.」
「See you later,Noa.」

朝、この施設の中で１番信頼出来るパルマー博士にそう言ってオフィスを出る。
制服には着替えず白衣のまま、施設以外の場所で身分を明かしてはいけないので名札だけ外して。
ああ、それから、カメラも忘れずに。

──今から３０分程前。

「ノアちゃん、大変！空が真っ赤なの！」

そう叫びながら、わざわざ世界線まで超えて私のオフィスに駆け込んできたフォール──本名、秋? ??。
伏せられている部分は私も知らない、他の人間はフォールやら秋やらと呼んでいる。
小学生の時から情報収集能力に長け、拳銃の技能だって簡単に修得してみせたとても優秀な諜報員だ。
さて、そんな彼女が言う事には、空が見事に真っ赤に染まっているらしい。