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「こればっかりは、実際に見てみないと何とも言えないか・・・フォール、他の博士達に詳しい状況の説明をお願い。私は確認に行ってくるよ。」
「Okay!」
駆けていくフォールの背を見送りながら、私は一眼レフを準備する。
そうした後パルマー博士に事情を説明し、冒頭へ戻る。
さて、どうやって世界線を移動するのかという話だが。
この施設には、様々な世界線へと移動する事が出来る転送用のゲートが存在する。
それに様々な設定をし中へと入る、それだけだ。
帰る時や、あちらの世界からこちらの世界へと来る時は支給される小型のデバイスを操作すれば良い。
──こんな超技術は下手をすれば外部に悪用されてしまうだろう、とたまに心配になる。
今のところは厳重な管理下に置かれているのでその心配は無いが。
「設定を確認致しました。転送を開始します」
無機質な音声が流れ、私は光に包まれる。
余りの眩しさに目を瞑り、そして次に目を開くと、其処はフォールの家の玄関だった。
私達が通っている学校の近くに存在する森の中。
そんな場所にそびえ立つ、深い森の中には到底不釣り合いな程豪華な屋敷。
それが、フォールの家だ。
昔どうしてこんな大層な家に住んでいるのかと問うた事があるが、話せば長くなるからと理由は教えてくれなかった。
それ以来、余り気にしないようにしている。
気軽に遊びに行けるし、泊まる事も出来るし、中々良い家だとは思う。
「うわっ」
重たい扉を開き、外へ出て空を見上げる。
その瞬間、つい声が漏れた。
フォールの言っていた通り、見事に真っ赤である。
夕焼けのような、否、夕焼けよりもずっとずっと赤い。
すぐに一眼レフを構え、何枚か写真を撮る。
そのまま引き返そうとは思ったが、このまま帰ってしまっては学校に休みの連絡を入れる時間も無さそうだ。
そうなっては無断欠席という事で、後々面倒な事になってしまうだろう。
ひとまず、学校へ向かう事にした。
関係者以外の誰かに遭遇する事が無ければ良いのだが。
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