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撮った写真を見せ、1部の博士やエージェント達には世界線を超え実際の景色を見てもらい、そうして2時間程で成果が出た。
この施設では様々な異能の力を持った物品や動物を管理しているが、どうもその内の1匹が脱走していたらしい。
そいつはどうしてか管理を潜り抜け、ゲートに入ってあちらの世界へと行ってしまったそうだ。
そして、その能力で空を真っ赤にした、と。
何度か転送ゲートを悪用されないかと心配になる事はあったが、杞憂には終わらなかったらしい。
「もうちょっと管理を徹底すべきだよ。ゲートの件もそうだけど、監視カメラで見るまで誰も脱走に気付かないってどういう事?」
フォールがそう愚痴を言いながら転送ゲートの使用履歴を開く。
私はその言葉に対して苦い笑みを浮かべる事しか出来なかったので、大人しく画面を見る事にした。
1番最近の履歴、8時23分。
2番目の履歴、8時17分。
3番目の履歴、8時10分。
4番目の履歴、7時58分。
5番目の履歴、7時54分
6番目の履歴、5時42分。
7番目の履歴、昨日の18時36分。
この中のほぼ全てが、私かフォールが使ったものだ。
「フォール、私が帰ってから・・・昨日の時点で、空は赤かった?」
「ううん、今日の朝からだと思う。昨日からだったら、その時点ですぐ報告に来てるよ。」
「だよね、了解。」
となれば、7番目以降は除外して良いだろう。
1番と2番の履歴が、1部の博士やエージェント達のもの。
3番の履歴が、私がこちらの世界へ戻ってきた時のもの。
4番の履歴が、フォールからの報告を受け私があちらの世界へ確認に行った時のもの。
5番の履歴が、フォールがこちらの世界へ空の事を報告に来た時のもの。
では、6番の履歴は?
フォールも同じように考えたのか、私と顔を見合わせる。
そして、6番目の履歴の詳細を開いた。
「・・・ノアちゃん。」
「うん。これで間違いないみたいだね。」
すぐに内線で博士達を呼び出す。
これで、今与えられた私達の仕事は終わった。
後はゆっくり次の指示を待とうと、すっかり温くなってしまったコーヒーを口に含んだ。
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