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私はお供となった炎を纏った虎に〝スウサ〟と名付け、一人と一匹で森を抜ける事に成功致しておりました。
何でも、スウサによるとこの森の先には小さな集落があるとか。何の情報も無い今、こうした話はとても頼りになります。
道すがら、スウサに〝ここ〟について幾つか話を聞きましたが、やはり私の知っている地球ではないようで御座いました。所謂異世界という奴ですね。
まず初めに、ここは私の知っている地球と同じく〝アース〟と呼ばれているようです。ただ日本語を英語にしただけのようですが、それだけでも異世界感があるのが不思議で御座いますね。
時代背景と致しましては日本で言う一六五〇年辺りでしょうか。
既に紙幣が出回っているとの事ですので、私の記憶が正しければそれくらいの筈です。
ただ、トイレは既に便器が製造されているというのですから驚きです。日本のその時代ですとまだ厠だったと思うのですが……まあそこは異世界だからという事で御座いましょう。
他にも建物が中華風か昔の日本風、の割に地名や人物名は横文字。大国が四つある。冒険者という職業がある。虫がやたらと強い。魚が火を吐く、等々教えて頂きましたが……やはりそんな中で最も気になったのが〝魔法〟という概念についてです。
何でも〝魔蔵〟と呼ばれる心臓辺りに存在する実態の無い臓器から生成される〝気〟のような摩訶不思議な力だそうです。
更には身体中に張り巡らされた〝魔力管〟と呼ばれる管から魔力は全身へと運ばれ、掌や指先などから外部へ放出されるようです。機能的には何だか血管に似ているような気がしますね。
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