私、異世界に訪れたようで御座います。

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 気になる一言を残し黙り込んだ虎に、私は詰め寄りました。命がかかっております。必死になりましょう。 「使い魔。何故、知らない。不思議」  首を傾げられても困ります。此処が地球で無いという線が〝魔力〟という存在で濃厚になっておりますし。知らなくて当然でしょう。 「つかいま? ああ、僕のようなモノですか。そうするとどうなるのですか?」 「魔力、供給。汝の、我の物。我の、汝の物。互いに強くなる。が、我、汝の言う事、逆らえなくなる」  成程……自由が無くなるとはそういう事ですか。確かに、そんな性格をしていますと自由が無くなるのは辛いでしょう。口には絶対出せませんが。  虎の困ったような顔を見つめ、私は慎重に切り出します。彼の不安な点を取り除いてあげさえすれば、もしかすると。 「それでは、あなたの自由を保障しましょう。ただあなたは私が頼んだ時に傍に使え、命の危機に瀕した時に助けて頂きたい。その代わり、あなたの食糧やその他問題に関して、私の出来る範囲でお手伝い致します。どうでしょう?」  噛まずに言えた。中々どうして、いい感じではないでしょうか? 現に虎は〝悩む〟と言わんでも理解できる程首を捻っております。 「……自由、保証?」 「しましょう」 「呼ぶ、常に?」 「あなたの時間を極力配慮致しましょう。出来れば、契約後少々お時間を頂きたいところですが」 「……食べ物?」 「ご用意致しましょう。その代わり、私まだここの地理についてよく理解しておりませんので、ご助力願いますが」 「…………」
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