私、異世界に訪れたようで御座います。

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 どれ程の時間が流れたでしょうか。虎は悩みい悩み抜いておりました。犬のように座り、何度も首を捻っては立ち上がり、少し歩き座る。そんな行動を凡そ二〇数回繰り返しておりました。  そしてついに、その時が――。 「分かった。我、汝に使える」 「おお! 左様で御座いますか!」 「ただし、条件、守れ」 「心得ておりますとも!」  凛とした瞳で此方を見据えた虎が答えを出しました。  私は思わず跳ねる様に喜んでしまいましたが、一度咳払いにて平静を取り戻し、どうやって使い魔とやらの契約を結ぶのか質問を投げかけます。 「簡単。我の指先、汝の指先、切る。合わせる。で〝我ら、此処に盟友の誓いを結ぶ〟と言う。完了」 「成程、分かりました。では早速」  思いの他簡単な内容に拍子抜けしてしまいそうになりましたが、極力表に感情は出さず、傍に生えていた少々葉先が鋭利な葉っぱを摘み取りました。  私はそれを指先で何度か擦らせて切り口を作り、血を押し出しました。虎も同じように、自らの牙で肉球? を千切り私の方へ差し出しました。 「声、合わせる。いいな?」 「畏まりました」    ぴちゃりと音を立てて重なった私と虎の指先。瞬間、幾何学模様の何かが重なった指の間から発光し始め、私たちの顔を緑色に照らしました。  少々肩をビクつかせてしまった私でしたが、虎と視線を交わらせ、呼吸を整え――いざ。
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