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『我ら、此処に盟友の誓いを結ぶ』
刹那――指先に輝いていた幾何学模様と同じ模様が私たちの足元に浮かび上がり、凄まじい突風が吹きあがりました。
それは少しずつ円を描いて行き、虎の纏う炎と結合していく。言うなれば、私共は一瞬にして炎の渦に飲み込まれたのです。
しかし、それはものの数秒で収束していき、私共の重ねた指先に吸い込まれるように消えてなくなってしまいました。
「こ、これは凄い――熱ッ!?」
「ああ、忘れてた。契約後、印、出る」
契約の儀式を終えたと踏み、重ねた指を離した私でしたが、不意に走った手の甲の痛みに声を上げてしまいます。しかし、それは虎も同じようで身体を硬直させていました。
この際、何があろうとも命が助かったので文句はいませんが――。
「いッ!? こ、これは入れ墨ですか!? な、何故!!」
何と言う事でしょう! 私の清められた身体に……いれ、いれ、いれれ、入れ墨が! 何たる悲劇! 仏から貰い受けた神聖な身体が!!
テンパる私を余所に、虎は冷静に自身の手の甲を見つめております。正直毛のせいで何も見えませんが。
こうして、私は何とも奇怪な地にて、奇怪な虎に命を狙われた後、盟友の儀式――使い魔の儀式を経て事なきを得たのでした。
この先、私がどうなってしまうのかは全く見当もつきません。しかし、何やらこの虎関係でまともな僧侶人生を送ることが出来なくなるような予感がしてなりませんね。
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