入浴剤《バスボム》⑭

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その言い方もありましたが、照れた様に言うという具合が、ある程度の誤解を(こまね)くのにも充分なものがあったので、女商人がやや慌てつつも、いつもの剽軽(ひょうきん)さを忘れずに含ませて、声をかけます。 ―――ヒャッハー、えーと、シズクが年上の御婦人(レディ)である事と、こちらの偽名のお兄さんも思春期を抜けてはいるけれど、やはりそれなりに意識しちゃう年頃なのでどうしても照れが目立つのだけれど、それ加えて先程話したサブノックの武人の矜持として、御婦人を無事に護衛しつつ送り届ける約束を果たせないので、それが一番腹立たしいのがあって、顔が紅いのもあるみたい。 非常に活舌良く、異国の青年(スパンコーン)の要望と顔赤くしているだろう経緯を女商人が伝えたなら、聞き手の若人の双方に確認を取る様に、視線を向けたならこれは殆ど、揃って頷きました。 その頷きを確認してから、最終的な説明の為に女商人はさらに続けます。 ―――それでね、シズクが無事に王都に辿り着いて、落ち着いた頃に、不敵な女商人からの定期的な連絡が来るでしょうけれども、この偽名の青年(スパンコーン)殿はシズクさん自身から"こちらも王都で健勝で過ごしていますよ"という連絡を直筆で欲しいみたい、で、いいのかしら?。 最終的な確認を行う為に尋ねたなら、再び若人が揃って頷いたのを見届けた後に、珍しく女商人が叱りつけるといった調子で、偽名の青年(スパンコーン)に向かって口を開きます。 ―――それにしても偽名の青年(スパンコーン)……貴方さっきの言い方だったなら、まるでシズクに、最終的には嫁いで貰うのを前提に遠距離恋愛を申し込んでいる青少年だったわよ。 ―――えっ、ど、どうしてですか?!、俺はただシズク殿が良かったなら、商人殿を介して御無事と言う連絡が欲しかったのと、預かってたいシズク殿の金子を商人殿に預けているので、何かしら不明な点があったのなら、遠慮なく尋ねて欲しいつもりであったから、さっきみたいな言い方になりました。 偽名の青年(スパンコーン)のこの発言で、南国を旅立つ前に確かに、預けていた事をシズク自身も"あっ"という声を思わずだして思い出します。 年若い婦人が持ち歩くには、少々金額が大きくて、それで護衛をしてくれる武人の青年に委ねていたのでした。
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