オタクが好きなものを喋る時のあれ

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吉野はベットの脇に立ち、左手は前を隠すように、右手は左手を掴んで恥ずかしそうに少し顔を横にして立っていた。 吉野の上半身はすっきりとしている。しかしきっと、背中を反らした時にむっちりとした肌が生まれるような肉付きだった。 そして黄色いものが引っかかっている腰は細くはあるものの男であるようにがっしりともしていて、きっと掴んだら手にフィットするのではないかと想像できる。 要するに松下は性的な目で吉野の痴態ともいえる姿を見ていた。 「吉野、手を退けて見せてくれ」 心臓はどきどきと手にとって分かるように脈打っているが、頭は冴え渡っていた。 松下は少し低い声で、普段と変わらないがどこか命令めいている言い方をした。 「ふー」 吉野が無意識に鼻から息を吐く。 目をゆっくり閉じると、決心したように両手を開け、その両手はどこにいこうか迷った挙げ句、両太腿の脇にならった。 リビングからの光が斜めに入り、薄暗い中で黄色のショーツが異様に浮き出ている。 小さい訳ではないのだろうが男が履くものとして作られていないため、腰にぴったりと張り付き、股間部分はもっこりと影を落としている。そのサイズは平均並みだろうか。 「やっぱり似合ってる」 松下は吉野から目を離さず、囁くような声で言った。それに対し吉野はぐっと握り拳を作り、さらに顔を赤らめる。 「部長は、あの時から思ってましたが、その、男が、好きなんですか」 どぎまぎと吉野は前から不思議におかしいと思っていたことを吐露した。 松下はそれに動揺しない。淡々と質問を返す。 「なんでだ?」 「だって、こんな、、俺は好きだからあまり卑下したくないですけど、こんな格好見たいって、そうなんじゃないかって」 「それで?危機感なかったのか、襲われるって」 吉野はふるっと身体を揺らす。直立するのが難しくなっているように思えた。
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