コーヒー、アウト!

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最悪、最悪、最悪、最悪! 松下からコーヒーをかけられ吉野は焦り、震える手を握りしめて近くのトイレに入った。 絶っっっ対しみ付いちゃうだろこれ!先週買ったばっかのLILIAの新作に! 吉野は松下から謝られたスーツのことなど1ミリも気にしておらず、その下の下着をどうしようかと悩んでいた。 ここで脱ぐか?スーツだけ拭く? いや、スーツを拭くとしたら下に圧力が加わるだろ?そしたら下のアレにも染みちゃうかもしれない、、。でも、部長がくるかもしれないし、、。 吉野は約10秒葛藤し、ベルトに手をかけた。そして素早くズボンを尻の下まで下げ、可愛らしい下着を確認する。 よし、ひとまず大丈夫だな。 吉野が履いていたのは、ピンクの生地に花の刺繍が施され、繊細なデザインのレースが上部に付いたLILIA新作のショーツだ。それは発売前予約ができると分かったその日に、吉野がネットで注文したものだった。 ちょっと手で浮かせて拭けばいけるかな。 吉野は打開策を見つけ、ズボンに手を掛けて履こうと腰を後ろに突き出した。 「おーい、吉野ー、大丈夫かー」 え、やば、こっち来る? 松下の声がすぐそこまで聞こえ、吉野は素早く履こうとする。しかし下着に当たらないようにするので思っている以上に早くならない。 「ちょい違うけど、穿けるのあった、、、ぞ、、」 吉野が完全に履ききるより先に、手にズボンのようなものを持った松下がドアを開け入ってきてしまった。 両者によく分からない緊張が走る。 吉野は驚きで動きが止まり、松下は目を丸くし、普段では想像もできない半ケツの吉野の顔に視線を向けた。それから目線は下にいき、男の下着ではあり得ないだろう薄ピンクのそれに目が止まる。 「え、、あ、えーーーっと、、罰ゲーム、か?」 松下はそこから目を離さず、むしろ最初よりも凝視したまま、言葉を口の中で転がすようにしながら問いかけた。
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