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「違いますっ!」
「、、、え?」
うわ。即答しちゃった。絶対変だろ。この状況で罰ゲームじゃなかったらじゃあ何ってことになるじゃん。
吉野の顔は真っ赤に色づく。
吉野は好きなものを罰ゲームの材料として認識されたと思い、いつもより声を張り全力で否定した。
しかし、それが逆に仇となってしまうと認識したのは言った後だったのだ。
その言葉に松下はポカンとして最初の恰好のまま固まっている。
罰ゲームじゃなきゃ何なんだ、と、また両者の間で沈黙が起こった。
「あーっと、とりあえず履いたら?」
その重たい沈黙の中で先に声を発したのは松下だった。
そして松下は、今頃凝視していたのを気付いたかのように少し顔を赤らめながら、着替えを持った手とは反対の手でこめかみを掻いてフイッと目を逸らした。
その言葉にハッとし、吉野はすぐにズボンをはき直す。この時はコーヒーのことなど忘れていたので、すぐに履けた。
どうしよう、これやばいやつだ、、。バレちゃった、。
吉野は下を向き、先程の失言をどうしようかと、また焦っていた。涙は焦りすぎて出る気配もない。
いや、LILIAの下着は決して恥ずかしいものではなく、なんだったらこのデザインも着心地ー、、は男用じゃないからあれだけど、女性には大人気だし!、じゃなくて!えっと、
「あ、の、着替えあるんですよね」
どうにか思考の逃走を防ぎ、無難なのはこれだろ、と松下が言っていた着替えを吉野は小さな声で催促した。
恥ずかしいのとは裏腹に、新作の方も気になってしょうが無い。吉野は着替えに着替えて、この状況も下着の方も落ち着きたかった。
「、、あぁ、これな。去年の忘年会の衣装で、スーツっぽいのがあったような記憶があったから出してきたんだ。、っほれ、」
松下はなんだか分からない緊張と恥ずかしいさで吉野と目が合わないように話し、今いるところよりも近づかないようにと着替えを投げた。
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