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サトシは、腹部を刺されて死んでた。
二日前の深夜に。
じゃあ、あのLINEの返事は…?
既読がついたのはなんだったんだ?
サトシのスマホは見つかってない。
そして、右手の人差し指が…なかった、らしい。
あの床の血だまりは、切り取った指から流れてたのだと神倉から聞いた。
アキラには、その傷までは見ていなかった。
見えていなくて幸いだと思った。
痛かっただろうに…、と自分の右手を握り込んで左手で包み、胸に抱きしめるようにすると心臓がぎゅっと痛くなった。
発覚するまでの間、あいつは一人で、あの冷たい床に転がっていた。
あんなに、みんなに囲まれて笑っていたやつが…想像もできない、たった一人で、あいつは最期に何を見て、何を思って…そして…。
サトシは実家や親のことは殆どなにも話さなかった。
ただ、少し裕福な家の子なんだな、という印象があった。
サトシの葬式で、いろんなことが判った。
遺体は解剖されて実家のある京都に搬送された。
葬儀が行われると連絡があり、学校からも担当教官が参列することになった。
どうする?と言われ、躊躇なく行くと決めた。
だって、友達の葬式だ。
あんな別れ方は、イヤだ、と思ったんだ。
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