裏庭に佇むAIロボット

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裏庭に佇むAIロボット

 私が稼働し始めた時、この施設には多種多様の人間たちが居住していた。  人間は、私と違い柔らかい肌を持ち、その瞳は潤いに満ちている。肌の色や瞳の色は各々で違い、話し方も、食べ物の好き嫌いも違う。関節が自由自在に動かせるからか、動きが滑らかに見える。人間には、寿命というものが存在して、いつかは死んでしまうそうだ。そんな彼らと違い、私の肌はいつだって硬く、瞳に潤いなど有り得ない。肌は灰色で瞳は黒色。関節はあるが、動きが鈍い。人間にある足は私にはなく、代わりのローラーが下の先端に付いている。彼らの寿命とは、命という生きている間にだけ稼働する天からの贈り物らしいが、私にはそれはなく、電気があればいつまでも動く。  私の様な、ロボット、と言われる者たちは各地に点在しているが、この施設には私の他はいない。聞いたところによれば、一台でとても高価だかららしい。ちなみに、人間は、一人二人と数えるが、私は、一台と数えられる。何故、台なのかは知らないし、興味もない。 「やあ。グレイ、ただいま」 「お帰りなさいませ、リンタ様」  医大生であるリンタ様は、帰宅の際、小さな袋を抱えられていた。 「流石にもう、スバルは寝たか」     
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