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「わかってる!でも14日は休みだから土曜日の今日しかないんだよ!」
そう、14日には恋人たちが密会しチョコを堂々と渡すことができる。だが、恋人のいない俺にとっては今日がチョコという勝利を得られるラストチャンスなのだ。
13日の金曜日ならぬ13日のバレンタインである。
「てかそもそも。私友チョコも義理チョコも配るような人間じゃないよ?」
「なんてことだ…」
椎名と同じクラスになったのは高校2年の今年が初めてであるからそんな事実は知らなかった。
義理堅さ日本一の椎名ならきっと義理でもチョコを作ると思っていたから目の前が暗くなる。
「バスケ部のマネージャー、いるじゃん。私より可愛ーい子がさ。あの子から貰えないの?」
椎名が可愛い、の部分を強調して訊ねてくる。確かに、マネージャーは物凄く可愛い。だが、問題がある。
「マネージャー、彼氏いるから義理すら作らないんだよね」
そう、つまりはそういうことだ。彼氏以外に振り撒く義理などない。世界は無情なり。
「なるほど、私には彼氏がいる訳ないと思っているから義理でももらえる、と。傷付くね、これは
「えっ!椎名彼氏いるの!?それならごめん!」
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