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「配達ごくろうさまです」
A 「いただきまーす! うぅんっ、おいしい! うまい! 五つ星!」
B 「お嬢さ~ん。お届けものですよ~」
A 「あ、郵便屋さん!」
B 「ちょうど良かった。家まで行く手間が省けたよ。
お。学校帰りに、買い食いか? ホットドック、うまそうじゃん」
A 「えへへ、いいでしょ~。――あっ、見て! あのワンちゃんかわいいねぇ」
B 「あぶない!」
よそ見をする少女の腕が引かれる。
少女のそばを、自転車が一台横切った。
B 「ったく、よそ見するから…」
A 「あ…ありがとう。あぶなかったぁ…」」
B 「また、肉まん落とすぞ」
A 「いつぞやは、私が落とした肉まんを、踏んづけさせてしまいましたね」
B 「…ふはっ。なんか変な喋り方」
A 「それはそうと、私にお届けものって?」
B 「これが…あんた宛てに…」
郵便屋さん、鞄から手紙を出そうとして、少女の持つホットドックに目がいく。
B 「そのホットドックを食べきったら渡すよ。手紙を落としたら大変だ」
A 「はーい。…そうだ! これ、どうぞ」
少女は鞄から、買ったばかりの肉まんを出した。
A 「この雪の中、配達、ごくろう様です。ささやかですけど差し入れです」
B 「ありがとう。これ、あったかい…な」
A 「できたてだからね」
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