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一階では五人の男女がお互いの真意を確かめ合っていた。
「殺人事件として捜査が入れば、ここにいる全員が容疑者となる」
柴田幹彦が苦しげに言った。
「自分たちの恥辱があばかれ、将来が、家族が……大きな傷を負うだろう」
佐伯憲太郎もうなずいた。
「パーティの準備をするために、この山荘には氏家達子だけがいた。おれたちは雨で到着が遅れた……とみんなで口裏を合わせるんだ。達子は停電でロウソクを使っていて、カーテンに火が燃え移ったことにすれば」
「山火事になるかも……」
一条芙由子が言いかけたが、遠山かなが目を光らせる。
「大丈夫ですよ、この豪雨ですから。消防車は遅れるかもしれないけれど、山火事になることはありませんよ……」
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