五 転身

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 自殺するつもりはない。  かならず生還しなければならない。  すべては「転身」するために。  これは賭けだった。  デザイナーとして本当の才能もないまま脚光を浴びることができたのは、つねにスキャンダラスな話題を振りまいてきたからだ。  柴田との結婚と離婚、原静江の仕事を奪い、恋人を奪ったのも、妻子ある気鋭の建築家を誘惑し破滅させたのも、また佐伯のような若い男を恋人にしているのも。  すべては自分が華々しくスポットライトを浴び続けるためなのだ。  だが、いまはどうだ。  若さを失い、女としての盛りはすぎた。  すでにデザイナーとしては使い物にならないだろう。  だが、転身はできる。しなければならない。
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