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「このどれかを口にして、達子は、死んだ……」
柴田幹彦、佐伯憲太郎、遠山かな、原静江、そして一条芙由子は恐ろしそうにチョコレートを見つめた。
「この山荘に来たとき、達子がみんなを紹介したが、それぞれが初対面だ。あらためて一人一人、自己紹介し合おうじゃないか」
年長者である柴田幹彦が提案した。
「犯人さがしかよ」
佐伯が突っかかった。
「おれはここを出るぜッ。死人と殺人犯がいる山荘に閉じ込められるってか? ごめんだね」
椅子から立ち上がり、背をむけた佐伯の肩を、柴田がおさえつけた。
「だめだ、みんなここに居るんだ」
「そうよ、ここでいなくなったら、あとで警察があんたを探し回るわよ。第一容疑者として。それにこの土砂降りだもの。県道に出るまでの山道は危険だわ。ご自慢の四輪駆動車でもね」
原静江はそこまで言うと、細身の葉巻を取り出して喫煙した。
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