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三 犯人たち?
ロウソクと暖炉の炎でリビングは赤く照らされていた。
窓の外では相変わらずの雷雨だったが、だれも口をきかなかった。
お互いをうかがいあう重苦しい空気が流れた。
それでも先に口を開いたのは、一条芙由子だった。
「毒は、やはり……チョコレート……」
「ああ、ワインも口にしていたようだったが、チョコレートだと思う……」
「チョコレートは達子自身が老舗デパートから取り寄せたものでしょ。それに毒を仕込むなんて、だれにできるかしら」
「いや、だからこそ逆にだれにでもできる。チョコレートの中に毒を仕込まなくても、表面に塗るとか」
「とにかく、毒入りチョコがまぎれこんでいたんだ……」
床にはまだ、金色の包み紙に包まれたダイス型のチョコレートが散乱していた。
ほかにも小粒の円筒形チョコや、ホワイトチョコとミルクチョコをブレンドし、マーブルの模様を出した巻貝型のチョコレートもあった。紋章を刻印したチョコもあり、ピンク色の食用インクで可憐な花を書き込んだチョコもある。
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