彼女は奢ったホットドッグを食べている

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 「ミシェル。それ、美味しい?」  雪が積もった寒い日のお昼どき。僕は彼女の食べるホットドッグにちらちらと目が留まる。さっき市場の出店で体格がよく気さくな店主に勧められたので買ってあげた。  彼女は食べるのに夢中なようで、よほど美味しいことが伺える。  「うん。おいひい」  「食べながら話すと行儀悪いぞ~」  本当に美味しそうだなぁ。もっとも、僕は食べられないんだけど。  「ねぇ、ミハイルは食べないの?」  「うん。ケチャップアレルギーだから」  「何それ。ああ、トマトね!」  「そうなんだよね」  「ねぇねぇ、中には何が入っているの?」  「んー、アボカドにレタス、オニオンフライにソーセージってとこかしら」  「食べてみたいなぁ」  「ふふ。残念でした」  どんな味がするんだろうなぁ。美味そうだ。食べてみたいのはやまやまだけど、そのためには僕専用のメニューを作ってくれないと。
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