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「白石、男好きなんだよ。しかもさ、いつもなんの前触れもなく告白しはじめるんだ」
「女とも付き合ってたことあるだろ」
バイなのだと何回言えばわかるのかと、大我は泉を睨め付ける。
そして南方に向き直ると一転、期待に満ちた表情を見せた。
「俺、みなちゃんのこと大好きなんだよ。付き合って欲しい」
南方は突然の出来事な上、周囲の目が多いためやや戸惑った。
だが。
「残念だけど、付き合えないんだよ。そういう決まりなんだ」
大我に対してほのかに笑いかける。
実際はそのような決まりごとなどなかった。
十年以上教師をしていて、なぜか二度ほど生徒から想いを告げられたことがある。
どちらも今の言葉で切り抜けていた。
男子生徒からの告白は初めてであったが、断ることに変わりはない。
ただ、以前はこのような公衆の面前ではなかった。
落ち着いて話を聞き言い諭すことが、できなかった。
「なにその決まり。無視しなよ」
大我は断る際の南方の物言いにも優しさを感じて、一層想いを募らせる。
部活中にマイクの前で告白をするほど奇抜なだけのことはあり、決まりだからとすぐに諦めることはしなかった。
「無視しなって……。付き合うって言ってないでしょ」
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