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部活に熱心な泉に対して、南方はほとんど理解しておらず、全く顔色を変えない。
大我は泉を軽く睨む。
「全然褒めてくれないんだけど」
「みなちゃん、わかってないんだもん。白石、邪魔だからもう帰るぞ」
南方は忙しいから部活動に来なかったのだし、騒がしくしては先客の生徒に悪い。
泉は先日のように大我の腕を引く。
去り際大我は、
「みなちゃんが褒めてくれたら、俺もっと頑張るのになー」
と、聞こえよがしにつぶやく。
「うん、既に意外と頑張ってるのは知ってるよ。ごくろうさま」
南方は大我に、軽く笑いかけた。
泉が大我から手を離すと、大我は社会科資料室を振り返る。
「さっきいたの、三年かな?」
「多分ね」
「俺もあそこに入り浸りたいなー」
大我の言葉に応えずに、泉は放送室まで無言で歩く。
結構な距離を歩いて到着し、中に入ると防音扉をロックする。
「みなちゃんは、さすがに無理だろ。やめとけよ」
「やだ」
まだ校内に人はいたが、校舎一階の東奥で防音もされているため、部活動が終了した放送室は耳が痛くなりそうなほど静かだった。
鞄からペットボトルを取り出して口をつける大我に、泉は軽くため息を吐く。
「見てて痛いんだよ」
「どっちが?」
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