2 惑乱

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 部活に熱心な泉に対して、南方はほとんど理解しておらず、全く顔色を変えない。  大我は泉を軽く睨む。 「全然褒めてくれないんだけど」 「みなちゃん、わかってないんだもん。白石、邪魔だからもう帰るぞ」  南方は忙しいから部活動に来なかったのだし、騒がしくしては先客の生徒に悪い。  泉は先日のように大我の腕を引く。  去り際大我は、 「みなちゃんが褒めてくれたら、俺もっと頑張るのになー」  と、聞こえよがしにつぶやく。 「うん、(すで)に意外と頑張ってるのは知ってるよ。ごくろうさま」  南方は大我に、軽く笑いかけた。  泉が大我から手を離すと、大我は社会科資料室を振り返る。 「さっきいたの、三年かな?」 「多分ね」 「俺もあそこに入り浸りたいなー」  大我の言葉に(こた)えずに、泉は放送室まで無言で歩く。  結構な距離を歩いて到着し、中に入ると防音扉をロックする。 「みなちゃんは、さすがに無理だろ。やめとけよ」 「やだ」  まだ校内に人はいたが、校舎一階の東奥で防音もされているため、部活動が終了した放送室は耳が痛くなりそうなほど静かだった。  鞄からペットボトルを取り出して口をつける大我に、泉は軽くため息を()く。 「見てて痛いんだよ」 「どっちが?」     
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