冬ごもりの町で僕らは。

4/4
前へ
/4ページ
次へ
「アミティエも寂しいの?」 「悪い夢をみたら、能天気な顔みないと眠れないだろ」 照れ隠しで茶化す。 チャマはそうね、といった。 「じゃあ、私のベッド狭いから広いお父さんのやつで二人で寝かせてもらいましょう! 寝相悪かったらごめんね。そうだわ、そうしましょう」 「わ、ごめん! 君のお父さんにそれ言ったら、今度から敵扱いされそうで怖いから、やめてくれ!」 「大丈夫よ。うちのお父さん、いつもチャマとアミティエが一緒にベッドに寝れる関係になったらいいのにっていつも言ってるもの」 マジか。公認は公認で責任がある。それとも牽制か? とはいえ、僕がチャマと一緒のベッドでは冬中眠れなくなる。 それだけは勘弁。 「チャマ、大人になってから一緒に冬眠しよう」 「ほんと? 嬉しい! 私、チャマの子供産みたかったし!」 「ぶほっ?!」 こいつ、意味わかって翻弄させてたな! ニヤニヤ笑う彼女。 能天気なものか。女は無邪気で小悪魔だ。 空からハラハラと白い物が舞い込んできた。 いよいよ、今年も町が冬に沈む。 春を静かに想って。 おわり。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加