冬ごもりの町で僕らは。

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吐く息は白く、コートから出を出せない。 時計塔広場で待ち合わせに、いつもの如く遅れてやってきた女の子は手に美味しさそうなパンを持っていた。 「チャマは冬ごもりに余念がないな」 アミティエ、は目の前を歩くポニテールの少女に問いかけた。今からご飯に行くのに、食べ物を買うとは。 呼ばれた少女はチャマ。明るく能天気で、アミティエの幼馴染だった。 僕らの町は冬になったら、とても人間の生きる世界ではなくなる。活動を停止し、春まで冬眠するのがこの国の習性だ。 「お腹減って、冬にひとりで起きたらどーするの! 寂しいじゃない!」
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