救いなき街

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しかし、不思議な事は続くものだ。 私がこの教職に就いて数十年、若い女性と交わってきたが、彼女達は皆死んでしまった。 私の力を使えば簡単な事だが、私は直接手を下した事は一切ない。 どうして、私が交わった女性は皆、自ら命を絶つのだろうか? 結果として私には、非常に都合の良い事にはなっているから問題ないのだが。 私は、その都度何か問題になりそうな気配になると、彼女達の親に金銭を与えてきた。 多額の金銭を。 私が金銭を与えると、親達は喜んでいた。 ただ、最後に親達に一言添えている。 「私をこれ以上、困らせないで下さいね」 たったその一言を言うんだよ。 だが、その一言が効くんだ。 面白いぞ。 大人が肩を震わせ、怯えた様子を見るのは。 エミの両親は、特に見てて面白かった。 人間という動物は、非常に面白い生き物だ。 感情や倫理、道徳など、目の前に積まれた金に霞んでしまうのだ。 あれだけ、「私の娘を!」って大口叩いた大人が、数分後には私に頭を下げる。 まったく、解りやすい生き物だよ、人間は。 だが、その数日後に彼女達は、自ら命を絶ってしまう。 果たして、どういう事だ。 警察等が私に配慮して動いた。 いや、考えにくい。 事が表に出るのに、時間が短すぎる。 まさか・・・ 親達が・・・ 娘達の親が? 「ハッハッハァ」 面白い、非常に面白い!!! 私に配慮して、自分の娘に手をかけると? 金の為に、娘を殺すというのか? 「ハッハッハァ」 もし、 もし、そうだとしたら・・・ 私以上に狂っているな。 この街の親達は。 「・・・」 さて、 そろそろ街を変えるかの。 この街には、長く居座り過ぎた。 だが、やり残した事を終えてからにしようとするかの。 「サキ」と「ヒカリ」 彼女達が消えるのを 自ら命を絶つ事を 待ってから・・・
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