救いなき街

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ーーー先生 私は、あなたの「正体」を知っています。 知っていて、サキをあなたに渡しました。 以前、あなたの「正体」を父から聞きました。 その時の父は、酷く酔っていました。 「鈴木先生には、決して逆らうな」 珍しいなと思いました。仕事が忙しい父は、あまり私の事には干渉しませんでした。 「・・・知ってる人なの?」 好奇心で父に聞いた話は、突拍子で信じ難い話でしたが、あの父があまりにも真剣に話すものだから、私は信じました。 そして、私はあなたを「利用」しました。 あなたを、エミの家の前で見た時です。 あなたは、きっと私達の前に現れるだろうと思ってましたから。 実は今日、エミの家に来たのも私は個人的に困っていたし、サキも困ってたからなのです。 サキがエミを「イジメ」ていた事も、あなたなら知ってましたよね? そして、私がそんなサキを許さない事もあなたなら解ってましたよね? 私は、友だちが「イジメ」られてるのを知っているのに、何もしない小さな人間です。 私は、エミが学校に来てない理由は、サキの「イジメ」だと思います。 エミは、優しい女性です。 私が困っていると、いつも手を差し述べてくれる女性です。エミがこれ以上、学校に来ないと私が困るんです。 大切な、大切な友達だから・・・ ねぇ、先生。 私は間違っていないですよね? 先生、どうか・・・ どうか・・・ サキを・・・
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