とにかく食べるのが好きのようで

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とにかく食べるのが好きのようで

「ねえ、次はあそこに行こうよ」 枯れ葉が舞う町の通り。 あどけなさを残した可愛い顔の幼馴染は屋台を指差して笑う。 「あそこの肉まん、今なら半額だってさ!」 「それは結構なんだけど」 僕は苦笑いで頭を掻く。 「その手にあるホットドッグを全部食べてから言おうね?」 まだ彼女の手には先程僕が買ったキングサイズのホットドッグが握られている。そして口の端にはソースがべったり。 「どんだけ食べるのさ。お汁粉、ハンバーガー、フライドチキン、おでんにたこ焼......今はホットドッグ。そんなに食べたら太るよ?」 可愛い顔に似合わないこの暴食ウーマンはこの国に来てから食べることしかしていない。幸せそうに食べるのは良いが僕の財布が寒冷期に入ってしまうのだけは勘弁してほしい。 「冬のうちに美味しい暖かいものは最高でしょ?」 「僕、もうお腹いっぱいなんだけど」 「よし、行こう!」 「話聞いてた!?」 「......ダメ?」 彼女は小首を傾げて僕を見上げてくる。 「......別に駄目とは言ってないだろ」 「ホント? わーい!」 さっきの困り顔が演技のように顔を輝かせると、暴食姫は楽しそうにスキップしながら屋台へ駆けていく。 「やれやれ」 吹き付ける風にひとつ身震いして、僕は彼女のあとを追いかけた。
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