冬の朝

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「はい。でも、まだまだ行っていない場所がありますよ。それに、国外には行った事が無いでしょう?」  綺麗に笑みの形を作った少年の言葉に、少女が今度こそ笑顔になった。ええ、そうね。  街の大通りを、少女を抱えてずんずんと進む少年。抱えている少女が血塗れなのもまた、衆目を集めている。  彼らが街の外へ出ようとした時、急に霧がかかった。良好だった視界が、瞬く間に奪われていく。 「貴女は私が殺します。それまでは離れませんよ」 「うん、よろしくお願いします」  恐らく、街が霧に覆われたのは数秒の事だっただろう。急に出てきて、急に晴れた。そんな不思議な霧であったと街の住民は語る。  その霧が晴れた時、もう既に少年と少女の姿は何処にも無かった。
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