冬の朝

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「…うう~。ごめんなさい。また、私…」  目が覚めて、真っ先に謝罪をするのは彼女らしくはあるが、別に謝るようなことは無いと少年は思っているので、軽い声で返事をした。 「別にいいんじゃないですか?一応、この国には『死なない兵士』という強化人間がいる事は有名な話でしょう」  そう、この国は長らく近隣諸国との戦争状態にあった。国の全ての人間が疲弊していた頃、強化人間である『死なない兵士』が戦線に投入された。 「そうですけど、皆さんびっくりしますから」 「ええ、貴女が事故で死なない体になった時ほどでは無いでしょうが」  そう、もう百年以上前に死なない体になった少女。彼女を模して強化人間は製造されている。 「…貴方のお父様が死んだ時ですね」 「ええ。だから、私は貴女を殺したいのです」  少年にとって、少女は父親の仇だ。彼女に自分の不死性を譲渡した事により、彼女は生きながらえ、少年の父親は死んだ。  街の騒めきが、周囲をぼんやりとしか認識していなかった少女の耳にも届いた。口を笑顔の形にしようとして、失敗してしまい笑っているのか、泣いているのか分からない中途半端な顔で言った。 「この街にもいられなくなりましたね…」     
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