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約束
ここは、とある民家。
ナギサは隣に座る少年、ツムギに話しかけていた。
「ね、ツムギ。あたしたちって、どうして働かなくちゃいけないのかな?」
「しょうがないだろ。こんな国に生まれちまったんだから。」
この国では、11歳になると働かなければいけない決まりがあった。
ツムギは飛行場に弟子入りすることが決まっていた。
ナギサは、働くことが嫌で、まだ決めていなかった。
「ね、ツムギさ、あたしと冒険してみない?」
「は?何言ってんだよ?」
「あたしさ。働くの、絶対嫌だと思ってたんだよね。だけどさ、一つだけ、いいなって思ってるのがあるの。」
「なんだよ?」
ナギサはにっこり笑って、ツムギに言った。
「フフ~ン。何でしょう?当ててみて!」
「・・・どうせ、旅芸人とかいうんだろ」
「すごい!あたり!どうしてわかったの?」
「お前の脳みそは単純だからな。」
「ムッカ~!!」
ナギサは腹を立ててツムギをにらむ。
でも、すぐに気を取り直していった。
「じゃあさ、あたしといっしょに、やってくれる?」
「・・・行ってほしいの?」
「うん!!」
ためらわずにうなずくと、ツムギはため息をついて立ち上がった。
「シャーねーな。つきあってやるよ。」
「ホントにっ!?」
目を輝かせてツムギを見ると、ほんのり頬が赤くなっていた。
「出発は?明日とかいうんじゃないだろうな。」
「もちろん明日だよ!」
「なんでもっと早く言わないんだよ!!」
思わず少しこけたツムギに、小さく「ありがとう」とつぶやく。
「ん?なんか言ったか?」
「な~んでもない!さ、そうと決まったら、早く寝るぞ~っ!」
恥ずかしさをごまかすように、勢いよく言った。
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