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第1章 美人
「おはよう、優那(ゆな)」
耳になじんだ声。
振り返ると海斗(かいと)がすごいスピードで追いかけてきた。
息が上がっている。
「どうしたの?」
「いや、お前、昨日ラインしても全然返さないからさぁ」
返さないって、夜中の12時とかの話でしょ。
それまでちゃんと返してたし。
「ごめんごめん、寝ちゃってたんよー」
ってか、24時間365日、海斗のラインに付き合ってられるか!
と思ったけど、それは言わないでおいた。
海斗の髪の毛が風になびいている。
「あれ?海斗、髪染めた?」
金色に近いメッシュがところどころ入っている。
元々、校則の緩い高校ではあるけれど、これは怒られるぞ・・・と思った。
海斗は私にぞっこんだ。
ちょっとチャラチャラしてて勉強も出来ないけど、背も高いし顔立ちもいい。
メンズファッション誌のあるモデルさんに激似とかで、女子からの人気も高い。
そんな海斗に好かれていることが、私はちょっとした自慢だった。
「私のどこが好きなの?」
別に付き合ってるわけじゃないけど、一度海斗に聞いたことがある。
「顔」
即答だった。
「優那って可愛いじゃん。他の男子もみんな言ってるぜ?
それにスタイルいいし」
外見を誉められて、別に悪い気はしなかった。
だってほんとに美人だもん。
モテるかモテないかなんて結局見た目よね・・・と思う。
学力偏差値より顔面偏差値。
女子は特に。
「外見より性格が大事」とか言う人もいるけど、絶対ウソ。
可愛くなきゃ、興味も持ってもらえないじゃん。
ブスは性格が良くても悪くても、そんなの見てもらえないんだよ。
生まれつき顔の悪い子ってほんとかわいそう。
同情なんてしないけど。
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