五章

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胸にかぶりついて、ちぎれそうな勢いでガッと歯を立てた。 「……んあっ…!」 痛みに呻き声を上げるのも構わなかった。 興奮に咳込みが止まらなくなる口を押し当て、息遣いさえ奪うようにも口づけて、 その身体を曝いて、自分の服も脱ぎ捨てた。 だが…… どう愛撫しようとも、自身はぴくりとも反応をしなかった…… 感じもしない下半身に、「ククッ…」と笑いが漏れた。 わかっていた……俺に気を許そうとしている彼には、 感じられるはずもなかった……。 「……帰れ。気分が悪い、帰ってくれ……」 彼の身体を押しやってどかし、「帰れよ……」とくり返した。 無言でベッドを立って、 「……いきなり来て、悪かったな…」 申し訳なさそうにも口にするのに、 「……こんな時にまで人がいいのも、いい加減にしろっ!」 と、怒鳴りつけた。 「……悪かったな…」 何が悪いのかもしれないまま同じようにも言い残して、彼が部屋を出て行くと、 以前に家へ送って行った時のようにもまた、無意識の涙が流れて、 枕に突っ伏すと、 「……くそっ…!」 誰にともなく毒吐(どくづ)いて、ギリギリと歯噛みをした……。
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