六章

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「やめ…ろ…」 次第に息が上がってくるのに、 「あまり感じてると、気づかれますよ…」 耳打ちをして、 「……(いじ)っているだけですから」 と、囁きかけた。 「それ以上はしませんので、触らせて……」 耳元に口を付けながら、 「……あなたが欲しくて、たまらなかった……」 吐息を吹き込むと、 「……ん…」と、小さく彼が喘いだ。 「……そう、そうして少しだけ、おとなしくしていてください……」 手の平でゆっくりとさするうち、熱く勃ち上がってくるのを感じながら、 「……家に着くまでは、堪えてくださいね…」 そう続けて、掛けた上着の下で(もてあそ)んだ。 欲望のままに彼の肉体を翻弄していると、自分が何週にも渡り避けようとしていた事実も忘れて、眼前の行為に没頭することしかできなくなっていた……。
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