うちの上司はめんどくさい

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うちの上司はめんどくさい

悪の組織「悪魔の牙」。 治安のよい日本に突如として現れ、人々を支配しようと非道の限りを尽くす存在。 そこの女幹部、黒崎キリカ。 冷徹で極悪非道。 笑いながら、人を殺める女。 世間からそう思われている。 しかし、部下である松坂にとってその認識は的外れこの上ないものであった。 「何しているんですか?キリカ様」 ここは、組織の給湯室。 エプロン姿の黒髪中学生が、料理本を睨みつけていた。 「松坂!いいところに来たわね!ちょっとこれ食べなさい!」 「......なんすかこれ?」 「見れば分かるでしょ!チョコよ!」 キリカは手に持った固形のダークマターを誇らしげに見せてくる。 今日は2月13日。 お菓子業界の陰謀、バレンタインの前日だ。 「......これが、チョコ?」 うにょうにょと動くチョコレート。 嘘だと言ってほしい。 「そうよ」 「キリカ様」 「な、なによ」 「カカオ農家の方に謝って下さい」 「なんでよー!?」 女子中学生は頭を抱えて絶叫する。 これが、部下のみぞ知る女幹部の正体。 世間が恐れおののく少女は、料理が苦手なポンコツ娘であった。 そもそも。 「悪魔の爪」は名前こそ極悪そうであるものの、その実は政府に雇われたエンターテインメント集団。     
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