中年騎士の思い出

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◇  小高い丘にある城と言えるのかもわからないような、こじんまりとした建物の前にある庭。花が綺麗に咲いている、今年も、去年も、十数年前もだ。そよ風が葉を揺らすと、緑の爽やかな匂いが鼻腔をくすぐった。  穏やかな気候、少し山がちではあるが作物もそれなりに収穫できる、言ってしまえば平和な国。食うに困らず、領民を養って行けるだけの様々な環境が揃っていた。  椅子に座って空を眺めた、あの時も同じように空を眺めていたと思い出す。まだ騎士として歩み出して数年、未熟で無謀で、無力だった頃を。
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