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食べながら喋るな
A「あ、来た来た。ビリー! もう、おっそーい!」
B「ア、アリス……そ、外で立って食べてるなんて、行儀悪いぞ!」
A「だって、モグモグモゴモゴ?」
B「お、おまけに、食べながら喋るなよ! 何て言ったんだ?」
A「『汽車に乗り遅れちゃったら大変じゃない?』って言ったの。」
B「はー……全く、なんでそんなに張り切ってんだよ? 移動遊園地とかに行くわけじゃないんだぞ!」
A「はいはい、わかってますよー!」
B「……念のため言っとくけど、オレが誘ったんじゃないからな。いつかみたいに、勝手について来といて、また途中でつまんないだの早く帰りたいだのって大騒ぎされたら、たまんねーよ。」
A「あー……ごめん、あの時は、ほんとごめんね! だって、本の虫みたいなビリーが出かけるなんて、めったに無いんだもの。どこに行くのか、つい気になっちゃって……」
B「がっかりしただろ、行き先が『新たな時代の飛行船展』でさ。」
A「……うん、まあ。でも、収穫はあったわ。」
B「どこがだよ! 帰りなんか、半ベソでふくれっ面して、ひとことも口きかなかったくせに。マジで参ったっての。」
A「……アタシ、ビリーがそんなに飛行機械が好きだなんて、今まで知らなかった。ずっと一緒の幼なじみなのにね。」
B「……え?」
A「あなたの新しい一面がわかったのが、アタシにとっての収穫!」
B「……今回だって、『海を渡る機械の翼展』なんだぞ。大丈夫なのか?」
A「平気、平気! だって、ムシャムシャモグモグ、モゴモゴモガモガ!」
B「だ、だから、食べながら喋るなって! 全くもう……!」
A「あー、おいしかった! ……あ、大変! そろそろ時間よ。行こっ!」
B「お、おい、待てよ! なぁ、今度は何て言ったんだ? おーい!」
A(『夢中になって目をキラキラさせてる、あなたの横顔が好きだから』って言ったの!)
(完)
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