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2人はお石様の前までやってきた。
それは2メートル近くあり、石碑には、風化しつつも石敢当と刻まれているのが分かった。
その文字を引き裂くようにして、ヒビが入っていた。
2月のヒューヒューとした風に晒されても、どっしりした威厳のようなものを感じさせた。
「こいつが、ここの地区を護ってるって?」
弘が石碑を見上げながら言った。
「そう言われてるなぁ。」
「・・・・・。」
「あ、弘!!」
弘は、ヒビ目掛けて、ハイキックを入れた。
「おわ、ビクともしね~。」
「何やってんだよ!」
「健太、なにビビってんだよ?年寄りのいう事、真に受けてんじゃね~よ。
も一回ケリ入れるから、動画撮ってくれよ。」
健太は呆れた。
「付き合いきれんわ。帰る。」
「なんだよ~。古の噂みて~なもんだろ?」
健太が畦道に寝かせていた自転車を起こしかけたとき、地面がぐらりと揺れた。
「!!!」
地震!?あっ、お石様が・・・・・。
バシーーーーーン!という音と共に、石碑は崩れ、石片が弘に降り注いだ。
健太は叫び、そして、見た。
石碑のあった背後から、黒いもやに包まれて牛車がやって来るのを。
それは、災厄をもたらすものに違いないと思ったが、もはやどうすることも出来ず、ただそれを待つことしかできかった。
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