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「無理に進めるような輩はいないとは思うが、同じテーブルの上に酒が置いてあると、誤解されるかも知れないな。ホント、助かるわ」
「いえ、僕の方も課題持って来てるんで、サクッとメシだけ食わせてもらえる方がありがたいです」
というわけで、僕はオカミさんが用意してくれた夕食をほぼ独りで食べた。母親とほぼ同年代の雇い主の妻と、サシ飯だなんて気詰まりだろうと、オカミさんなりに気を遣ってくれたんだと思う。
口では、居酒屋の方の仕込みがあるから、勝手に食べてね~などと言っていたのだが。
僕は、夕食後に他の従業員たちが酒盛りをしている間に一番風呂をもらい、二週間の当座の部屋へと引き上げ、課題をこなすという予備校の合宿のような暮らしを送った。
ちなみに、勉強ばかりをしていたわけではない。そんなにストイックな生活は無理だった。
六畳の洋室にはテレビもあったし、持って行った携帯ゲーム機で遊んだりもしていた。しかし、大抵は日中の疲れもあって、課題をこなすのもそこそこに寝てしまった。
特にゲリラ豪雨特需があったこの日は、風呂から上がるのもやっとのことで、ほとんど直ぐにベッドへと直行してしまった。
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