3 ケーキ

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 僕の声はあからさまに震えていた。 恐怖を隠すことなんて出来なかった。しかし、ミサキさんはそんな僕にも態度を変えずに、穏やかに優しく言った。 「話しただけだよ。言葉が通じてよかった」 「・・・・・・」  さっき、男に放った一言とはまるで違う調子だった。その柔らかさに、僕の得体の知れない恐怖は一瞬で蕩かされた。  ミサキさんの色の薄い瞳に僕が映し出される。 「怖かっただろう?樹。もう大丈夫だよ。何も心配しなくていい」  ミサキさんがそう言うのなら、そうなのだろう。 僕はわけが分からないままに納得し、トウモロコシ焼きを再開した。 醤油が焦げる香ばしい匂いが、僕を現実へと引き戻した。  イネは()ねだったのだと、今の僕ならば分かる。
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